どうも桑田です。
バイト先の整形外科でスポーツをやっている子供をみる機会が以前より増えてきました。
ありがたいことに、ご指名をいただいたり、チームの中で口コミが広がって私の元に来てくれたりと嬉しい限りです。
そんなこともあり子供のスポーツ動作をたくさん見ているのですが、ある違和感が生じました。
それはあるチームから3人、私の元に来てくれているのですが全員根本の原因が一緒だったことです。
「反る」が分からなくなっていた子供達
先ほどの3人の子供達は「肩」「肘」を痛めていました。
全員共通の症状です。
原因を探っていくと、3人とも「体を反る」という動きが分からなくなっている子供達でした。
スポーツ動作において「反る」要素は大切で「丸める」と組み合わせることで様々な動きを生み出します。
野球やテニスなどスイングスポーツにおいては「丸める」で溜めて「反る」で放つを上手く使いこなさなければなりませんし、サッカーでもシュートを打つ際に左右非対称の「丸める」「反る」を使わないとボールを蹴ることができません。
これらの動きや体の要素があって、スポーツ特有の動きや技術が作られていきます。
今回の3人は「反る」動きを知らないまま「投げる」という動きを行なっていました。
「反る」を使わないで投げようとするので体は捻れません。
そのため肩や肘を必要以上に使ってボールを投げていました。
結果、肩や肘を使いすぎて痛めてしまった、というのが私のリーズニング(推論)でした。
そこで実際に子供達に「反る」動きを教えたり「反る」感覚を探ってもらいました。
そうしたら3人とも1週間で痛みは無くなり、むしろフォームがよくなったり投げたボールの速度が上がったそうです。
2人に関しては2ヶ月経ちますが今も痛みなくスポーツを楽しめているそうです。
1人はまだ2週間しか経過を追えていないためまだ油断はできませんが順調です。
大人の好きな特殊な方法論と結果
なぜ今回のようなことが起きてしまったのでしょうか。
その原因の一つに、指導する側の大人が「特殊な方法論」に特化してきている傾向があると考えます。
私たちは特有の個性的な方法やそれによる演出というのに目が惹かれる傾向があります。
特にそれで結果が出たら尚更それを重要視していくのではないでしょうか。
しかし結果が出た時ほど、冷静な結果の分析が必要となります。
今回の子供達を例に挙げると、かなり特殊な練習を行なっていました。
今までもその練習を上手く行えている子供たちが結果を出してきたとのことです。
つまりその練習が結果を出している、という考えにたどり着いたのかもしれません。
ただ内容を聞く限り、先ほどの「反る」が分からなくなっている子供達にやらせるには過負荷で難易度が高い内容でした。
体を痛める要因になってもおかしくないわけです。
ですが、それでも続けている背景には「結果を出せる子供が育った」という事実があったからなのでしょう。
冷静に分析をすれば、その特殊な練習で結果が出た子供が「元々動きの要素があった」可能性が高かったのではないかと思います。
そこを考えれば全員に同じ練習を行うことはないでしょうし、特殊な内容であれば尚更です。
もちろん今よりも良い状況を作り出そうと練習方法を考えたり、行動した結果が特殊な方法だったのかもしれません。
ですが基盤となる部分に目を向けず、結果の考察を行わずに方法論に特化してしまうと今回のようなケースを生み出してしまうのかと思います。
自分基準で教えてしまうからこそ必要なこと
私たち大人は自分の基準をベースに様々なことを考えていきます。
当然、相手に教える時もそれをベースに組み立ていきます。
例えばサッカーにおいて股関節の柔軟性が重要と理解していた場合、股関節のストレッチなどを指導するかと思われます。
しかし肩甲骨や背中の柔軟性の重要性を理解していなければ、それらに対する練習は指導しないはずです。
それは当然ながら自分の基準があるからでしょう。
だからこそ「大人」が体や動きのことを理解したり興味を持って、自分の基準を広げたり深めていく必要があると感じます。
特に子供を指導する立場となると尚更ではないでしょうか。
あとがき
現代社会において子供が外でのびのびと遊ぶことも減っていますし、タブレットやパソコンなどで目は動かず、頭頸部を固定する生活が基本となっています。
そのため子供らしい動きをせず、無駄をなくした大人の動きを修得していってしまう傾向があります。
だからこそスポーツなどに携わる指導者の方には、子供達に特殊な方法だけでなく子供らしい動きを行わせて、人間の本質的な体と感覚を育てていってほしいと思います。
それが、その後の発達につながりますし、スポーツであれば怪我の予防やパフォーマンスの向上につながることでしょう。
ではでは。