どうも桑田です。
今回は前回の記事に続く内容を書いていこうと思います。
前回記事:「座る」の基礎知識〜座る事でトラブルが起きる人へ〜
前回の記事では股関節と背骨(腰椎)の話をさせていただきました。
土台となる部分で、まずはこれらの関係性が機能していなければ座るという行為が行えません。
今回はそれに続く話で、上半身の話をしていきます。
快適に座るために絶対必要な肩甲骨
前回の記事の最後の方に少しだけ「肩甲骨」が別の要素として重要であると紹介しました。
「肩甲骨」は私の今までの記事でも何度も紹介してきた重要な部位です。
今回の「座る」に関しても例に漏れず大切な部位となっています。
でも肩甲骨が座るときに何をするの?
そう考える方も多いのではないでしょうか?
座っている時の肩甲骨に必要な機能としては
- 上半身を立てるために背骨とは別の動きをする
- 胸郭(あばら骨)や骨盤と協力して動いたり、バランスをとる
の2つがあります。
上半身を立てる(頭や首、背中)
肩甲骨の動きを説明する前に、上半身にあたる背骨の名称を紹介します。
首の部分にあたるのが「頚椎(けいつい)」と呼ばれ、背中の部分が「胸椎(きょうつい)」と呼ばれています。
頚椎は前に突き出る彎曲(前彎)を持ち、胸椎は後ろに突き出る彎曲(後彎)を持っている特徴があります。
では頚椎、胸椎を座面で立てるために肩甲骨はどういった動きが必要なのでしょうか。
この時、肩甲骨に必要な動きとしては「外転」という動きが必要になります。
大まかにいうと背骨から外側に離れていくような動きをイメージしていただけると分かりやすいかと思います。
以前違う記事でも「肩甲骨外転」については触れたので細かい内容ははそちらをご参照ください。
首の痛みに対する考え方の一例〜肩甲骨外転は首にとって本当に大事〜
そうなるとこの「肩甲骨外転」がなぜ必要になるのでしょうか。
これを理解するに前回説明した人間の動きのルールが重要となります。
前回の記事でも説明した通り、人間の動きは「丸める」と「反る」の大まかな2つに分けられます。
この時、肩甲骨の外転は丸める、内転(背骨に肩甲骨を寄せる動き)は反るの動きに分けられます。
そうすると座っている状態の背骨は反る要素が必要なのですが、この時に肩甲骨は背骨と同様の反る動きである「肩甲骨内転」をしてしまうとどうなるのでしょうか。
反る要素の動きなので、後ろに仰け反ってしまうことが想像できるのではないでしょうか。
そのため肩甲骨は反対に「丸める」動きである外転方向に動ける能力が必要となります。
上半身を立てるためにも肩甲骨の動きが必要、というのもご理解いただけるのではないかと思います。
余談ですが、座っている際の「頭蓋骨(頭)の動き」にも肩甲骨の外転は必須です。
丸める・反るのルールでいくと背骨が反ったら頭蓋骨は後ろ方向へと行ってしまいます。
ですが私たちは顔を前に向けて頭蓋骨を前に向けておける能力があります。
「頭部屈曲」と呼ばれる動きになりますがこれを行うためにも肩甲骨の外転は非常に大切です。
胸郭(あばら骨)や骨盤と協力して動いたり、バランスをとる
座っていても私たちは様々な動きをしますし、止まっていても重心は常に同じ場所ではなく動いています。
その動きの中心となるのは背骨ですが、制御をしたり力源となるのは背骨ではなく胸郭や骨盤、そして肩甲骨です。
純粋な背骨の動きといえば「丸める・反る」ですがこの動きはあくまで手足が地面についていない状態での背骨の動きです。
つまり座っている状態(足や臀部が床や座面についている)とは動く条件が異なります。
床で手足を浮かせた状態で背骨を丸めるのと、座った状態で背骨を丸める動きが、同じ感覚かどうかを考えていただければ想像しやすいかと思います。
同じ感覚で動いていたらまず支えるための座面が無くなりますし、体を立てておくことができなくなります。
そのため、座っている状態では胸郭や骨盤と共に肩甲骨が協力して動いていく必要があるのです。
あとがき
まだまだ書けることが多い、座っている時の肩甲骨についてですが、個人的に理解していただけたらと思う内容を記事にさせていただきました。
デスクワークや座った作業で凝った時に動かすのが肩甲骨、というイメージを持たれがちですが実際は座っていて私たちが体を起こしていられるのも肩甲骨のおかげだったりします。
少しでも「座る」に対しての肩甲骨の重要性が伝われば幸いです。
ではでは。